≫ ねぇ、標が逆を向いていても、もう試練だとは思わないよ (09.03.27)
を乗せたまま"足つき"、アークエンジェルは一度オーブへと帰還したが、
中立を掲げるオーブに「地球軍に与しプラントを討たないのならば、ザフト支援国と見なす」を理由とし、
地球軍連合艦隊が攻めて来た。
アークエンジェルは地球軍連合艦艇と戦闘機を相手にオーブ艦とともに戦闘を続け、
キラの乗るフリーダムも華麗に空を舞う。
釈放されたとディアッカは、オノゴロ島の海岸付近にディンを停めてそれを見ていた。
オーブ領海線に集結した地球軍連合艦隊は会場を埋め尽くすかのようで、
この戦闘には多大な力を入れている事が見てとれる。
幾らオーブの軍事力が目を見張るものだとしても、戦いは困難を極めるだろう。
『ディアッカ・・・バスターはどうしますか?』
『バスター?』
の言葉に一度片方の眉を上げたディアッカだったが、
何を言っているのか意味を直ぐに理解したらしく硬い表情で返す。
『・・・俺、やっぱりバスターを諦められない』
はディアッカのその言葉に深く頷く。
海上を見渡す瞳は瞬き一つせず、全てを受け止めるかのように覚悟する。
『地球軍のものだとしても、今は貴方の機体だと私も思っています。
それに、あれは私が最初からメンテナンスしているものですから』
がディアッカへと視線を寄せると同じ位真摯な目つきでディアッカはを見ていた。
二人は目を見合わせた後、踵を返し各々の選んだ道へと歩き出した。
◆My love story◆
がディンで先に戦闘領域に入った。
地上を見下ろすと地球軍のGAT−01ストライク・ダガーはビームライフルを撃ちながら
海岸線に配置されていたM1アストレイ部隊へと向かう所が伺えた。
迎撃しながらも拙い戦い方をするM1部隊のパイロットはMS戦自体に慣れていないようで危うい。
は彼等に援護射撃を開始し、敵機の腕や、足、メインカメラのある頭部等の
戦闘力を削ぐ場所を確実に撃ち貫いて行く。
先に進むと前線には追い打ちをかけるように飛び回る三機の機体が次々とオーブ軍へと攻撃を仕掛けていた。
黒い機体は赤い縁取りのある翼を持ちモビルアーマータイプで、
その上には巨大な砲を背中に配置した青緑とオレンジ色のモビルスーツが乗っていた。
そして海中から飛び出して来た手に巨大な鎌を持つカーキ色のモビルスーツ。
三機とも特化した形で見た事もない型をしている。
『・・・地球軍も新型を!?』
見れば新型MSはフリーダムへと向かって行っている。気になったはディンの6枚の主翼を展開させ駆った。
自分自身で改良を施しつけたビームサーベルで向かって来る空敵の戦闘力を削ぎながら
6連装多目的ランチャーを放ち、海上の母艦も狙う。
向こうも戦艦ではモビルスーツの戦力には相当しないと判断しているのだろう。
ダガーだけでなく、黒色、カーキ色の新型二機もフリーダムへと向かい戦闘をし始めた。
『キラッ!!』
はレーザー通信を利用してキラへと語りかける。
遠目に見ても分かるように、この二機の戦闘力は確かだがキラは大丈夫だろうか。
「!?何で戻って・・・」
『やはり、ほってはおけない!!』
あの後、キラはの病室に暇があれば様子を見に来てくれた。
時にはディアッカのもとに連れて行ってくれたり、食事をともにとってくれたりもした。
立場は敵だったけれど、自分達はもう敵ではない。だから。
『援護するっ!』
はディンのサーベルを振り下ろし、二機にフリーダムからの間合いを取らせた。
そして黒い機体がディンへと向かってくるのを、ひらりと避けて蹴り飛ばす。
「・・・、・・・君・・・ッ!」
呆然としたい気持ちを抑えて、キラも懸命に新型MSと戦闘をしていた。
正直ディンの機体では彼等とまともにやり合えるとは思っていなかったが、は思った以上に健闘している。
あんな軽い機体で、あの女の子が、こんな対等に戦闘を繰り広げられるものかと信じられない気持だったが、
信じないわけにはいかない。実際にそれが目の前で行われているのだから。
それは彼女がコーディネーターだからなのか、それともそれが「」だからか。
勿論後者だろう。ディンを駆るコーディネーターでこんなに優秀なパイロットに出くわした事は一度も無い。
最初からが真向で向かって来る敵であったなら、と考えたキラは背中がぞくりとするのを感じた。
その頃、新型鋭機ジャスティスを受領したアスランは新しい任務の為、地球に降り立っていた。
任務とは反逆者ラクス・クラインの手引きによって盗まれたジャスティスと同じザフト軍開発の新型、
キラの搭乗するフリーダムの奪還、不可能な場合は完全破壊だ。
婚約者「だった」ラクスが何かを求めてキラにフリーダムを託したのだろう。
それが何か、本当はもう何処かで分かっていると思う。
自分で決めて、自分で選ぶ事を。
アスランが苦しくなる胸に手を当てた、その時、
モニターにはジャスティスが飛翔する近くで、戦闘が繰り広げられていると映し出された。
『何だ?』
オーブへと機体を進めるとオーブ市街、オノゴロ島から黒煙が立ち上るのが確認出来た。
その上空でアスランは激しく撃ち合う四機のモビルスーツに目を止めた。
モニター上で機体を拡大し照合するが二機に関してはデータが見つからなかった。
しかし残りの二機に関しては、焦点が合う。
【ZGMF−X10A フリーダム】
【AMF−101 ディン】
『フリーダム?・・・キラか?それに、あのディンは・・・』
フリーダムにはキラが搭乗している筈だ。それは分かっている。
けれど、照合された一際素早く立ち回るザフトの機体ディンも、
軽快な動きで見たことも無い新型と戦いアスランの視線を集めさせた。
何故たった一機、ザフトの機体がこの戦闘に介入しているのか分からない。
オーブ軍と共に地球連合軍に立ち向かっている情報だって入ってきていない。
もしかしたら、オーブ軍がザフトの機体を使っているだけかもしれない。
でも、どうしてか先程からチラリとアスランの頭の中を過る人物が居る。
けれど、「もしかして」「でも」と、そう思うアスランは自分の思考を止めようとした。
サーベルを持っているディンは彼女が改良したただ一機だけだが、
こんな所に、地球軍とオーブの戦いにザフト所属の彼女が居る筈がないじゃないか。
『くっ・・・!』
しかし、アスランは衝動的にジャスティスを降下させた。
モルゲンレーテから無事バスターを奪取したディアッカも、
オノゴロの海岸線に超高インパルス長射程狙撃ライフルを構えアークエンジェルを援護していた。
同じくその場所に居たストライク、M1部隊とともにストライク・ダガーを一機一機潰していく。
が、オーブの被害も大きかった。M1アストレイはダガーによるビームで順に貫かれ倒れ伏す。
オーブ艦隊もじりじりと少しずつ後退し援護をして貰いたいところだったが、
アークエンジェルも自艦の防衛で手いっぱいのようだ。
『こんだけ撃ってんのに、何で数減らないのぉっ!』
幾ら攻撃しても敵戦力の衰えが見えず、ディアッカが握るレバーには汗が滲んでいた。
上空ではも焦っていた。
目の前に居るモビルアーマー形態になった黒い機体が、両肩の砲口から目まぐるしくビームを連射する。
ディンの身の軽さとの反射神経で交わせているが、
万が一にもタイミングがずれてあの火力に当たったらひとたまりもないだろう。
一度でも当たれば終わりだ、とはごくりと息を呑んだ。
『当たれッ!』
一機でも良いから、仕留めたい。
そう思いディンが撃つが黒い機体は瞬時にモビルスーツ形態に変わりシールドを掲げミサイルを防ぐ。
まるでナチュラルとは思えない俊敏な行動に、は顔を歪めた。
『・・・イッ!』
それよりも、心配になる要素が一つ。動く度に身体に残る傷が痛んだ。
十分に療養したと思ったが、やはり短期間で治る分けが無いらしく、
包帯が巻かれている場所がずきんと疼く場所に無意識に手が添えられる。
が傷を抱え、ふらりと機体のバランスを崩したのを見逃さなかったのか黒い機体は破砕球を放った。
「避けられない」と、思った瞬間、目の前にフリーダムが現れ、身代りになった。
『キラッ!!』
フリーダムは弾き飛ばされ体勢を崩した。それに向かって飛んで来たカーキ色の機体がビームを放つ。
『キラァ・・・ッ!!』
が思わず声を張ったと同時に、フリーダムと敵機の間にまたも見た事のない赤い機体が舞い降りた。
赤い機体はシールドでビームを防ぐ。そしてとキラのもとに、聞き覚えのある声が飛び込んできた。
「―こちらザフト軍国防本部直属特務隊、アスラン・ザラだ」
耳を疑ってしまいそうな声に、とキラは無意識に周囲を索した。
それから、アスランの介入によって戦局は少しばかり改善された。
が、地球軍の軍事力はオーブを遥かに上回り、やはり厳しいものになった。
しかし手強い三機の新型MSの動きが途端に悪くなり、
敵艦から放たれた照明弾が戦闘の一時停止を知らせてくれた。
『ふぅ・・・』
はディンのコクピットで大きく一息つくと、
ヘルメットを取り足もとに転がすように置きシートに深く凭れかかった。
久方ぶりに危うい戦闘に身を投じた時の緊張感を思い出すと同時に、
やはりこのままではいけないと言う気持ちが胸に込み上げて来る。
『・・・早くラウの所に帰ろう』
帰ったらクルーゼに、本当にこんな事は早く終わらせなければならないと言おう。
戦争の終わらせ方を知っていると言った彼なら、きっと分かってくれる筈だ。
ふと、地上に視線を下ろすと機体を向き合わせたパイロット二人、キラとアスランが
自身も同じように向き合わせて立っている。
アスランの話から推測するにああやって素顔で再開したのは、幼年期以来なのだろうか。
表情を見ると言葉では表しきれない思いを互いに抱えているのが此方にも伝わってきた。
互いに銃を向け合い殺し合った。
それが望んだものではないとしても、儚い想いは立場に掻き消されてきた。
でも、今だけは違う。お互いの顔をしっかり見て、個人として其処で向き合っている。
何を話しているのか、それとも複雑な心境のまままだ話せないでいるのだろうか。
『!』
その時、ディンの足元から声が聞こえ、視界を地へ落とす。
金の髪を靡かせた少女が手を大きく振っているのが見え、はラダーを使って地上へと下りる。
『カガリだ!砂漠で会った時の事を覚えているか?』
降りた途端にカガリは満面の笑みを浮かべ、の手を取ってブンブンと振った。
『イタタ、お、覚えてますっ・・・!』
『あ、すまないっ!お前、怪我してたのか!?』
が怪我の痛みに顔を歪めると、カガリは慌てて手を離した。
そして痛がる部分を優しく撫でながら、心配そうな目でを見る。
『大丈夫です。有難う御座います』
思った通りを体現するカガリに、は頷いた。
カガリは知らないだろうが、此方はオーブのお姫様だと言う事をしっかりと分かっている。
しかし等身大の感情を露わにするお姫様らしくないところが、カガリらしくて笑みを誘った。
『その怪我で戦闘して大丈夫なのかよ?無理したんだろ?』
『いや、ちょっとは痛かったけど・・・』
は頬をかいた。
痛くても戦わなければならないと思っていたから大きな痛みが身を襲うまで正直、気にもなっていなかったから。
『アイツも物凄く心配してたぞ』
『アイツ?』
カガリの言葉に、は首を傾げた。
カガリの知り合いで自分の知り合いなんて誰が居ただろうと、そう思っていると。
『アスランだ。お前が死ぬかもしれないって、涙まで流してさ』
オーブで収容している時に会って、話をしたとカガリが眉を下げて笑った。
『涙?・・・そんな、私の為に?』
『良い奴だよ、アイツは。大事にしてるんだろうな、の事』
『大事だなんて、そんな・・・』
「そんな事も無い」と言いそうになったが、カガリが言っているようでもあるかと思った。
仲間として、個人として、彼はいつも人の事を考えて行動してきた。
アスランの仲間のその中の一人として、自分も扱ってくれていたのだろうと胸を熱くしていると、
『・・・』
『アスラン・・・』
いつの間にか此方へと足を運んで来ていたアスランが困ったような顔で笑っていた。
が言葉を探しているとカガリはポン、と背中を叩き笑顔を向ける。
そしてキラの方へ行く、と残しその場を後にした
カガリを見送ったとアスランの間には暫し沈黙が流れる。
『アラスカの事はプラントで聞いた。・・・君が無事で良かった』
やっとの事で口を開いたアスランはたどたどしい口調でへと語りかける。
キラから経緯を聞いたアスランは頷くの顔を見るが、
久々に見る表情は儚く以前とは何か違う気がしてただでさえ戸惑うのに余計意識してしまう。
『この戦闘に介入して大丈夫なのか?』
『大丈夫じゃない、かも。ん?・・・でもそれはアスランだって同じじゃないですか』
『あ・・・』
こんな事をして軍に知られた場合、どれほどの問題になるのはもう分かっている。
けれどもアスランも一個人として、どうしたいのか選んだ自分の道に迷いは無かった。
だからそれが分かったのか二人は目と目を見合せた後、噴き出すように笑った。
『私は咎められても構いません。間違った事をしたとは思ってませんから。
それに、キラは私に言ってくれたんです。
もう地球軍でも、ザフトにつく分けでもない。自分達は、敵でないと』
『キラが?』
『はい。彼は私と同じ未来を描いてると言っていました。だから、守ったんです』
アスランは胸を打ち突かれた気分だった。
真剣な顔をして守ると言ったに、自分の任務を思い出す。
『・・・俺は、任務でフリーダムと、フリーダムを盗んだキラを討ちに来た』
『―え?』
と同様に真面目な顔つきに戻ったアスランは、ちらりとフリーダムを見る。
もフリーダムを見上げると、あの新型はザフトのもので、
新型OSがアスランが乗っている機体ジャスティスと同じだと説明を受けた。
『アスラン、あそこ・・・』
は眉を顰めて向かい合う新機種を見ると、今更「ある事」に気付く。
フリーダムもジャスティスにも、一つの同じマークが描かれていて、ただ呆然としたままで口を動かす。
『・・・もしかして、Nジャマーキャンセラー搭載?』
『・・・ああ』
アスランはジャスティスから目を背けるようにして地に視線を落とした。
核によってユニウス・セブンや多くの命、その中にアスランの母親の命も散ったと言うのに
こんなものを作った自分の父親が分からなくて。
最初は父の言う事が間違っているとは思わなかった。
むしろ昔は正論を述べているとさえ思っていたが、
段々と時が経ち父親の立場や発言が変わり、自分も世界を見て人を知った今となっては肯定が出来ない。
『この機体にまで・・・』
呆然と立ち尽くすに、「この?」とアスランはそう言いかけたが途中で言葉は遮られた。
見れば元気な顔をしたディアッカが、二人のもとへと歩み寄っていた。
『よ、アスラン』
『ディアッカ・・・。お前も無事で良かった』
『無事って、と違って俺は捕虜として捕まっただけさ。情けない』
ディアッカの経過もキラから聞いたのだろうか。
安堵の表情を浮かべたアスランは無意識にディアッカの無事を喜ぶ笑みを見せ、
それが分かったディアッカは照れ臭そうに頭をかいた。
『・・・は、これからどうするんだ?』
へと視線を戻したアスランは、そのままディンを見る。
あれだけの戦闘をこなしたのに傷一つ無いディンなら、帰投しても問われる事は無いだろう。
もディンを見上げると、少しだけ考えやがて口を開いた。
『私はカーペンタリアに戻って、ラウと今後の事を話し合いたいと思います』
『だよな』
の言葉に、ディアッカが頷く。
此処で会えたからと言ってこれから共に行動出来る訳ではない事、アスランもディアッカも分かっていた。
『でも、オーブと地球軍の戦闘はまだ終わってません。
キラ達を・・・援護したい気持ちもあります。
アスランもディアッカもそうでしょう?だから一緒に戦ったのでしょう?』
『ああ・・・。俺は、あいつを、・・・キラを死なせたくない』
大事な友達だったキラ、と同じ未来を描くキラ、彼等の描く未来はきっと自分と同じ筈だ。
そんな彼等を疑問だらけの任務の為に撃ち消す事なんて出来ない。
『捕虜してる間、悪い事だけじゃなかったしな』
ディアッカも同じだ、ただ檻の中で考える時間だけは山ほどあり、見えたものがあった。
傷つき辛い思いをするのは人間なら誰も一緒で、
それはコーディネーターだからとかナチュラルだからとかそんな枠は無い。
アークエンジェルに乗る彼等がこの愚かな戦争を終わらせる為に戦うと言うのなら、
此処で地球軍に落とさせるわけにはいかない、と思う。
『なら、・・・』
アスランの頭に、微かに過った案があった。
このまま、ディアッカとともに自分達は戦争を終わらせる為の行為を、此処で、彼等と―。
『でも、わたしは』
しかし、今までは柔らかい表情だったのに、突然の顔は冷徹さを取り戻した。
『・・・わたしは、ザフト軍特殊部隊隊長になりましたので、帰らなければ』
『・・・は?』
『隊長?ちゃんが?』
一瞬、アスランとディアッカにはが何を言っているのか理解出来なかった。
それもそうだろう、プラントに居たアスランにも、捕虜となっていたディアッカにも、
一緒に居たイザークやニコルでさえ彼女の転属を知っていた者はいなかったのだから。
知っていたのは、ただ一人。
『・・・お前達が居れば安心してザフトへ帰れる』
『ちょ・・・っ。待てっ、!』
アスランは咄嗟にの手を取り制した。
言葉を並べられても彼女が言っている意味がまるで分からない。
つい先日別れた時のは整備士で、戦士じゃない彼女の職属が変わらないのは当り前だろうと思っていたからだ。
ディアッカもを見て言葉を失っていた。
パイロットとして出撃する事はあっても、
喜々として整備をするが必要以上の立場になると思ってなかった。
しかしの声色はいつものものと違い、声だけで信憑性が伝わってくる。
『わたしはザフトで戦争を終わらせる努力をする。だから・・・』
は俯いたままアスランの手を取った。
相手を思う気持ちがいつも一番な彼の、変わらない優しくて温かい手だ。
しかし、その手を自分の手から離しゆっくりと息を一息吸い顔を上げて。
『此処は任せた』
は心の底から想いが伝わるように声をかける。
自分が進む道は彼等と同じではない。けれど想いが同じなら何処に居ても変わらないと。
彼等には彼等の、自分には自分にしか出来ない事がある筈だ。
それなら、思い切り任せて。
その顔は甚く謹厳で、アスランとディアッカは身体が凍て付いたように動かなかった。