≫答えは暗く、欠片さえもまだ見えない ―もう少し時間を下さい (08.11.11)


「修理が終わり次第本艦はこれより本国へ向かう。評議会から召喚された」

"足つき"の追討を一端断念し、 被弾した部分の修復をしながらスペースデブリの陰で停泊していたヴェサリウスに プラント最高決定機関の評議会より通信が届いたらしい。 格納庫の隣にある一室で呼び出された事に対して目を丸くしたとは対照的に、 涼しい顔つきのクルーゼがモニターの中で小さく笑った。

『もしかして、ヘリオポリスの件?』
「そうだ。崩壊してしまったからにはただでは済まんと言う事だろう。 まあ仕方ない。ガモフには引き続きあれを追って貰う」
『そう』
「君にはまたこちらから連絡する。無事を祈っているよ」
『・・・うん。そっちもね』

大変な事をしたと言う意識は果たしてあるのだろうかと思わせるほど 淡泊なクルーゼと笑顔を向け合い、通信が切れると同時には静かに溜息をついた。 ヘリオポリスの崩壊は、あの日の光景と重なる。重なってイザークを思い出す。

鋭い瞳から放たれたイザークの言葉がまだ心に残り、 自分が気付かされた現実にどう対応すれば良いのだろうと考えさせられる。 綺麗事を並べずっと目を背けていたから、いざ前を向いた時に何をしたら良いのか分からない。

『ラウ・・・』

ただ一つ分かるのは、私を必要とするあの人の為に生きる事。



◆My love story◆



此処最近、イザークが機嫌の良かった時なんて無かった様にディアッカは思う。 元々気難しい人間なのだが、今も目の前に居る彼はそうであって、 険しい顔をして食堂の椅子に座り腕を組むイザークへ、無神経に軽々しく声をかけるなんて出来なかった。

『・・・ディアッカ』

雑誌に目を落としながら様子を見ているディアッカにやっとの事で口を開いたイザークの顔は 先程と変わり少々困っている。珍しいそれにディアッカは思わず二度見をしてしまった。 雑誌を閉じて座り直すと、ご機嫌を損ねない様に注意深く耳を向ける。

『女とは、訳の分からん生き物だな・・・』
『はぁ!?』

いきなり何を言い出すのか、とディアッカの手から雑誌が床へ落ちた。 何処か遠くを見て囁くイザークの顔を良く見ようと、間を挟んで置いてあったテーブルに手をつく。

『ど、どうしたんだよ?』

頑なに腕を組み考え事をしている彼に言い寄るが、 意識を何処かに飛ばして居る様で聞こえているのかいないのか、返答は無い。 自分から切り出したくせにそれはないだろう、それにイザークの口から「女」と言う単語が出てくるなんて、 と、ディアッカは自分で考えた後に益々気になった。

『もしかして、ちゃんの事? 近づくなとか何だとか言ってたのって、やっぱり妬いてたから?あの後、何かあった?』
『き、・・・貴様ぁ・・』

言葉をどう選べばイザークにとって正解なのか長く付き合っているディアッカにも大概難しいのに、 好奇心からポンポンと出てしまった言葉ではやっぱり彼の気に触ってしまった様だ。 ギラリと鋭い目でディアッカを睨むイザークの顔は、返答は無くとも図星をついてしまった証拠だと分かる。

『ちょっと!怒るなよ。お前が先に言ったんだろ?』
『お前の言い方が気に障るんだ』
『悪かったよ。で?どうしたの?』
『もういい!』

ディアッカが落ちた雑誌を拾いながらイザークをたしなめるが 一度損ねた機嫌の直りが悪いのは周知の事実だ。 イザークは椅子を盛大に鳴らして立ち上がり、水を取りに行くと口を尖らせそっぽを向いた。 おいおい、とディアッカが苦笑いをするも、何か下手に口走ったら面倒になる為それ以上あえて言わない。 座り直してイザークを見ると、彼は何やら気付いたようで歩き始めた足を止めた。

『あれ・・・』

ディアッカはイザークの視線を追った後、言葉を止めた。 眼に映るものは禁句の対象だろうと自分自身に言い聞かせて。 だって、たかだか三つ後ろのテーブルには、ニコルと今話をしていたが居る。 それを見つけてしまっただろうイザークは、誰の目に見ても分かり易くワナワナと肩を震わせていた。 イザークの後姿が一番良く見えるディアッカだけれども、 それ、やっぱり妬いてるんじゃないの?とは言えない。言える筈が無い。 イザークは給水機とは別方向へと踵を返し、にこやかに話す二人へと歩み寄り出した。

『おい、貴様』
『あ、ジュールさん』
『イザーク』

近寄って立ち止まっても話しかけられるまで気付かなかったのか、 ニコルとはイザークに声をかけられてやっと顔を上げた。 の顔は笑顔いっぱいで、イザークはあれから自分がモヤモヤと考えていた事に嘆息する。 この女との事で、いつも考えているのは自分の方だ。

『・・・ニコルと何をしている』
『ああ。ニコルがピアノを弾くと聞いて、今度コンサートに呼んで貰おうかと思いまして』
『そうなんです。イザーク。今の時期じゃ思うように出来ないと思いますが、 演奏する時には是非来て下さいと言ってた所なんですよ』

ニコルはそのまま「イザークも一緒に・・・」と言いかけて止めた。 絵画と音楽の苦手な彼を誘ったところで、良い顔をしてくれるかどうか分からないから。 視線をに戻して「ね」、と顔を見合わせ笑い合う二人はのほほんとしていて、 まるで戦艦に乗り込んでいる軍人とはとてもじゃないが思えない。 どうしてこんな能天気な女に、との考えが頭を掠めるも、何かが胸に引っかかるのだからそれを無視は出来ない。 イザークはテーブルに置かれたの手を掴んだ。

『え?え?え?』
『ちょっと来い。悪いな、ニコル』

驚いて言葉を紡げないの腕を、イザークは引く。 細身だが以外にも強引なイザークの手はしっかりとの手首を掴み、 振り払っても抜けないんじゃないか思う力が込められている。 どうしたのかと問う間もなく去る二人に、ニコルはぽかりと口を開いた。

『どうしたのかねぇ、イザークは』
『ディアッカ』

いつの間にかニコルの隣に座ったディアッカは首を傾げて笑い、 ペラペラと雑誌をめくりながらニコルの顔を見て小さく溜息を吐いた。 同様にニコルも首を傾げたが、彼の方はもっと分からない事だらけで、ディアッカの様に笑う事は出来なかった。



『ちょ、ちょっと、あの、ジュールさん!?』

ぐいぐいと手を引かれたはイザークについて行かずとも無重力のせいですんなりと廊下を進む。 何処へ行くのか聞く耳を持って貰う為踏ん張りたい所だが、それもかなわない。 まだまだ進み続けるイザークに力ではかなわないのならと、息を吐いては大きく吸った。

『ジュールさん!』

の言葉に、イザークがやっと足を止めた。 誰も居ない廊下に思ったよりの声は響き、けれどそれのお陰かゆっくりと振り向く。

『その呼び方、やめろ』
『え?』

イザークはきょとんとするの顔を見て呆れた様な不機嫌な様な目つきをするとを見下ろし腕を組む。

『前から気に入らなかったんだ』
『すいません。じゃあ・・・ん?ジュール様?殿??』
『バカか、お前は』
『ばっ・・・!?』

恐る恐る口にした呼び名を、イザークは冷たく流す。 は一蹴された事に身を驚かせ、口を噤む。 急に自分を引き連れたかと思ったら呼び方が気に食わないと怒られてもどう対処して良いものか。 ディアッカが居たら即座に聞いたのに。 まぁ、居たとしても難しいイザークのマニュアルなんて無いと言われるだけだろうけれども。

『・・・名前を呼べ』
『あ、イザーク様ですね』
『違う!』
『うっ』

自分の声のせいで一歩下がるに、イザークは頭をかいた。 何だってこんなに気の使う女なんだろうと、面倒だと思うのに、何故だか放っておくなんて出来ないと思った。 あんな表情を見せつけられた自分は彼女の事を知らず、 知ろうとすれば話を十分にさせて貰えないままでいつも不完全燃焼なんだ。 この胸に引っかかる棘を抜きすっきりしたいのなら、と、自分が見つけた答えはこれ。

『イザークだ。・・・それで良い』
『え?』

あれだけの能力を持っていながら、やっぱりどこか抜けているの顔は変わらない。 何を言われているのか分かってない様で、イザークは一歩下がられた距離を縮めた。

『俺の事はイザークと呼べ。変な敬称なんて付けるなよ』
『えぇ?だって・・・』
『一つ良いか。貴様が何を考えてるか知らんが、勝手に自己完結するな』
『じこ・・・?』
『婚約の事はもうどうでも良い。破棄したいならそうしろ。俺だってそっちの方が良い。 だが、意味が分からないままにされてるのは気に入らない』

イザークはに話すタイミングを与えない。 彼が言っている様に、いつもの方が勝手に話して終わっているのだから、 今回は絶対そうさせないぞと意気込みを込めているらしい。 おまけにじりじりと詰め寄るイザークの瞳は「いいえ」と言わさない気迫まで持っている。

『だから』

もう一歩詰め寄るイザークにはまた一歩と下がる。 気に入らないのなら、気にしなければ良いのにと思うけれど口に出来ない。

『お前を知る』
『ああ・・・、え?ハァッ!?』
『五月蠅い』
『は、はい!』

イザークの気迫に押されたまま後去ると、廊下の壁に背中があたりひんやりとした硬い感触が伝わってくる。 前も後ろも冷たいものに挟まれたは反応しているんだと意思表示に肩を竦めて頷いた。 そして思う。何処かで隙を見つけてこの場を去らなければ。 折角自分は真っ直ぐなこの人から離れようと心を決めたばかりなのに。 それにまだ、自分がこれからどうしたら良いのか分からないのに。

『俺が聞く事は答えろ。絶対に。拒否も言い訳も聞かん』
『でも・・・』

きょろ、と右と左を確認する。
後ろに逃げられないとなればどちらかしか無い。
はイザークに分からない様に壁に手を這わせて、彼の様子を伺う。 今、若干右の方に余裕があるように見える、此処で逃げれば。 しかし。

『逃がさんぞ』

逃げようとした右側は、あっさりとイザークの腕で塞がれてしまった。 彼の左手はしっかりと壁を押さえていて、瞳は一分の隙も作らないとばかりだ。 もしかしての考えている事が伝わっているのだろうか。 だったらこの面倒を言葉無くても説明せずとも済むのだけれど、とは心の中で呟く。



『イザーク・・・。!?』
『アスラン!』

ブーツを鳴らして廊下を歩く音なんて気にならない程イザークに集中していたは 廊下のカーブから現れ驚きの声を漏らしたアスランを見つけて明るい声を上げた。 アスランの方と言えば、まるでイザークに言い寄られている様に見えるを見つけ、 これは一体どうしたものかと言葉を呑んでいたが、はそんな彼の心情も知らず これ好機とばかりにアスランの背の後ろに滑り込む。

、どうした?』
『いやいや、アスランこそどうしました?』

アスランの背に両手をあてて二人から隠れる様な体勢のままは問う。 後ろに居るへと視線を寄せたいのだが、小さく隠れるはアスランの眼に映らない。 どうしてがこんな事するのか分からないけれど聞かれたからには返答をしようと気持ちながらに後ろを見る。

『俺は一度プラントに徴集されてるんだ。今からヴェサリウスに戻る』
『アスランも?』
『ああ』
『アスランもガモフじゃないんですか。そっか、私も一緒に戻りたいなぁ・・・』
『え?』

その一言にアスランの顔が赤くなり、それを見たイザークの眉が顰められる。
はイザークとの距離をおける様ヴェサリウスに逃げ込みたいと思っていたが、 まるでその言い方は「アスランと一緒に行きたい」と言っているみたいに二人には聞こえたようだ。 自分の事は避けるくせにアスランにはそんな言い方をするに、イザークは些か腹が立った。

「認識番号126059 。イージス発進準備の為至急格納庫へ。繰り返します―・・・」

その時、を呼ぶアナウンスが艦内に流れた。 は、慌てて耳を傾ける。

『あ、私行かなきゃ』

なんて良いタイミングだ、とばかりには笑った。 アスランの背から顔をひょい、と出してイザークを見ると彼はまだ何か言いたげな表情をしている。

『では、また』

が、今回も待たないらしくアスランの腕を掴んでは引き寄せる。 思いがけないの行動にまたもアスランの顔が赤くなり、 それを見てイザークが何か言いかけたが聞かんと顔を逸らしその場から逃げてしまった。 とイザークを見るアスランは理由が分からず声のかけようがない。

『おい!!』
『イザーク、此処に居たんですか』

イザークにとってタイミングが悪いのは続く様で、ニコルとディアッカも現れた。 穏やかな顔をしたニコルが、イザークへと駆け寄る。

『僕たちブリッジへ呼ばれてますよ』
『ニコル』
『"足つき"はアルテミスへ入港してしまったみたいです。これから作戦会議ですって』



が去ってしまった後の人影一つない廊下を渋々後にしたイザーク等がブリッジに入ると、 戦略パネルを見ながら豊かに蓄えた髭を触っていたゼルマンが振り返る。 アルテミスの"傘"に難しい顔をしていた彼は、三人を見てはこちらへ来るように視線を投げた。 各々はパネルを見易い位置へと移動する。

アルテミスは第五宙域に位置するユーラシアの小規模な軍事基地だ。 "傘"と言うのは光波防御帯がアルテミスと言う小惑星全体を包み、 どんな物体も兵器も通さない独特なシールドの事で、絶対防御兵器と言われている。 そしてアルテミスが難攻不落と言われる所以でもある。

『"傘"はレーザーも実体弾も通さない。まあ向こうからも同じ事だが』
『だから攻撃もしないって事?馬鹿みたいな話だな』

呆れ顔のディアッカが溜息交じりに戦略パネルをじっと見ていたゼルマンへと文句をつける。 ゼルマンは顔をあげるとディアッカにジロリと視線を返した。

『あの"傘"を突破する手段は今のところ無い。厄介なところへ入り込まれたな』
『どうする?出てくるまで待つ?』

説明しつつゼルマンはディアッカを睨むが、彼は何とも思って無いらしくにやにやと茶化す。 アスランの件から不機嫌で苛立っていたイザークがいい加減にしろとばかりに睨みつけた。

『ふざけてる場合か、ディアッカ。 お前は用を終えて戦線に戻られた隊長に何も出来ませんでしたと報告したいのか?それこそ良い恥さらしだ』

イザークに言われては、とディアッカは口を噤む。 そうじゃなくてももっともな事を言われては言い返す言葉も見つからない。

『"傘"は、常に開いている分けではないんですよね?』

今まで話を聞いていたニコルが、戦略パネルに映るアルテミスを指さしてゼルマンに問う。 その眼は"傘"が開いている状況が映されているアルテミスを真剣に見ていた。

『ああ、周辺に敵のない時までは展開していない。 だが、"傘"が閉じている所を狙って近づけば此方が衛星を射程に入れる前に察知され展開されてしまうだろう』
『・・・僕の機体、ブリッツなら巧くやれるかもしれない』

真剣な顔をして何かを考えた後、少女の様な顔のニコルが悪戯めいた笑みを浮かべる。 そして自分の胸に手をあてながら口を開いた。

『さっきさんから聞いたんですけど、ブリッツはフェイズシフト以外にも面白い機能が付いてるんです』



その頃、宇宙服を身につけたは甲板でイージスに乗るアスランを見送っていた。

『プラントまで気を付けて行って下さいね』
『ああ、君も・・・。イザーク達が居るから大丈夫だとは思うけど』
『はい』

にこりとコクピットに座るアスランを見るは、 コンピューターのケーブルをイージスに接続してOSの最終確認をしている。 抜かりなく仕事をしようとしているのか、時に真面目な顔をしてキーボードを叩く。 アスランはイザークとの事を聞こうと思い彼の名を出してみたけれど、 顔色一つ変えないの反応を見ると二人の関係は心配するようなものではないのだろうか。 ひとまず今はその話を避けようと、言葉を続けた。

『それに、君は自分一機でも逃げられそうだから安心している。パイロットなんだろ?』

アスランの問いにの手が一度止まったかと思うと、一笑した後また動き出した。

『いいえ。違いますって。仕事上扱い方を知ってるだけです。 よし!大丈夫です。エネルギーの補給も万全ですよ』
『でも・・・』
『本当に違いますから』

アスランの言葉を聞き流しながらモニターを見ていたは 全てのチェックが終わりましたと付け加えるとイージスに接続されたケーブルを引き抜く。 そしてインカムへ何やら伝えると、直ぐに管制官からのアナウンスが流れてきた。

「イージス、発進準備開始します」

ゆっくりと動いた機体はカタパルトに接続され、ハッチが開き達の前には終わりの無い宇宙空間が広がる。 はイージスに腰かけていた身体を起こしてコクピットを覗き込んだ。

『戦線に戻った時にでも、会えたら良いですね』
『ああ。にマイクロユニットも渡すって約束したしな』
『はい。絶対ですよ』

レバーを握っていたアスランの手がに向かって差し出され、かがんだの手をそっと握る。 はその手に驚いて、丸く開いた眼でアスランの顔を見た。

『勿論だ』

バイザー越しに見えるアスランは何処か寂しげに笑うが、にそれは伝わらない。 いや、伝えられない。 ただただ首を傾げるを、本当は力いっぱい抱きしめてちゃんと好きだと伝えて去りたいが、 今の自分にそれは出来ない事だと充分過ぎる程分かっているから。 自分の立場はもう決められたものだと知っていて、だからと言ってそう割り切ってしまうと胸が苦しいのだけれど。

『戦争が、終わったら・・・』
『??』
『何でも無い』

戦争が終わったとて、自分の立場は変わらない。 アスランは言いかけた言葉を止めての手を強く握った。 お互いグローブをしていて温もりどころか手の感触すら分からないけれど 振り払われずに触れていられるこの時間がアスランにはとても嬉しく感じる。

「イージス発進、どうぞ」
『え?嘘っ。やばっ・・・!』

が管制官のアナウンスに気付き周りを見回すと、自分以外の作業員は既に指定の位置に避難しているではないか。 あれだけ大きな機体が発進する時の爆風は凄まじくて、近くになんて居れたもんじゃない。 慌てて体を起こしてコクピットから離れる準備をする。

『・・・ごめん。じゃあ』

の手を握っていたアスランが、名残惜しそうにその手を離す。 ハッチを閉じてがその場から離れるのを愛おしげに見送り、 ちゃんと所定の位置についた彼女を見て、アスランはしっかりとレバーを握り、体勢を整えた。

「アスラン・ザラ。イージス、出る!」

コクピットからアスランの覇気のある声が響き、スラスターが噴射される。

『貴方が、無事であります様に・・・』

轟音と共に一筋の光になるイージスをは祈りながら見送った。