≫Extra chapter4 秘めたるもの (09.08.08)
俺はただ、君が好きなだけなのに。
◆My love story - Extra chapter 4◆
パイロットスーツに身を包んだはいつにもなく無機質な瞳で機体を見ていた。
戦場に出る時のパイロットは神経が立っているのを
これでもかと言うくらい見て来た筈だけれど、は今までの兵士達とは違う。
纏われている気迫は整備士のものとは思えないほど独特で、
身体ごと圧倒されてしまって声がかけられない。
それはこの戦争が始まった事で、「キラ」と出会った事で、
が徐々に思いつめ変わってしまったからか。
『・・・』
こんなにも歯痒いのは、変わりゆく彼女に自分がついていけていないからなのだろうか。
「キラ」が旧友だと嘆いて躊躇っていたから、不甲斐ない者だとおいて行かれてるかのようだ。
でも、はこの感情を理解していると思っていた。
いつも自分の事は後回しで話を聞いてくれていたから。
けれど、それじゃいけなかった。
甘えてはいけなかったんだ。
『此処で討つ。ストライクを、・・・「キラ」を・・・』
アスランは自分に言い聞かせるように言葉を呟いた。
勿論この声量ではの耳に聞えず、はヘルメットを片手にゆっくりとディンのコクピットへと入って行った。
アスランは最後の影が見えなくなるまでの後姿を見る。
本当は笑って「気を付けて」、と言いたい。
そして「君が討ちに行く事なんてない」、と、「自分が今度こそ討つから」、と言いたい。
けれど力強いの決意は、自分の言葉でどうにかなるものではないだろう。
『だから、言葉じゃなくて。・・・俺が、この手で・・・』
アスランはイージスのコクピットへと足を運ぶ。
その深緑の瞳はと同じくらい強い決意が秘められていた。