≫Extra chapter2 またね (09.01.13)


あの時君が言った「また会おう」はどんな形になるのかな。
ただ、僕のせいであの笑顔が崩れなければ良いけれど。



◆My love story - Extra chapter 2◆



『着替え終わったぞ』

その声で簡易な路地裏をキラが覗き込むと、カガリはバルトフェルドの愛人から貰ったドレスを紙袋に乱暴に畳み入れていた。 正直似合っていて素敵だな、と思っていたのだがあの恰好で街を歩き更にAAに帰るわけにも行かない。

『あー、肩が凝る。私には似合わないよ、こんなの』

キラの心の声が聞こえたのか、カガリは苦笑いを浮かべて紙袋を指さした。 確かにカガリが口を開くと今の活発な恰好の方が彼女にはしっくりくる。 あの子が、あの子にとても似合う可愛らしいワンピースを身に付けていたように。

『どうした?』
『え?』
『お前、さっきからぼうっとしてばっかりだぞ』

キョトンとしたカガリは首を傾げてキラを見る。小動物のような視線に、キラはやっぱり心を見透かされているんじゃないかとドキリと胸を鳴らした。



ぼうっとしてたのは、きっとあの子の事を考えていたから。

確か名前はと言った。
ザフトに居て、アスランと知り合いで、 目を見張る程綺麗なマイクロユニットの蝶を舞わせていた。
どうせなら、もう少し話をしたかった。 アスランが今どうしているか、聞いて。

でも、聞いてどうする。
あの時も、バルトフェルドの駐屯地の廊下でも、勝手にそう思って巧く言葉にする事が出来なかった。 思えば折角目の前に大事な事を聞ける相手が居たのに。



『・・・カガリ、早く戻ろう』

けれどもう過ぎ去ってしまった時間を考えても仕方ない。キラは大量の買出し袋を持ち直した。
そして今は小さく見えるバルトフェルドの駐屯地へと振り向く。

『ごめんね。・・・僕も、また会いたいよ』

あの子、がザフトだの地球軍だのコーディネーターだのナチュラルだのと、何のしがらみも感じさせない笑顔で笑ってくれたように、

今度は自分が笑って出会えた事を素直に喜べるように、そう祈って。